自由な発言の保障

場の設定

チーム内の和んだ関係を維持するとともに、ミーティングにおける各メンバーのモチベーションを上げるために、ハードとソフトとの両面で、より有効な場の設定を行うことが重要。
進行状況に応じて柔軟に変更するなどにより、有効な場の維持を図る。

[1] ハード

  1. スペース・・・・・・・適度な広さと居心地良さを追求する
  2. 机の配置・・・・・・できる範囲で、より円や放射状に近い配置にする
  3. 飴、飲み物・・・・・口にするのは自由だが、セットしてあるだけでも雰囲気が和む
  4. その他・・・・・・・・・BGM、照明など

[2] ソフト

  1. アイスブレイク
    必要に応じて、自己紹介や簡単なゲームなどを行う。これにより、個人がリラックスし、さらにチーム内の関係を和らげることができる。
    〔アイスブレイクの例〕 

    1. 「自分がヒーローの時は」と自己紹介
    2. 「今日の気分を漢字一文字で」と自己紹介
    3. 共通点探し
  2. 全体像の設計
    話の進め方やフェーズごとの時間割を、合意の上決定する。
    これにより、メンバーはミーティング全体の流れが把握でき、それによる安心感を得ることもできる。
    〔進め方の例〕
    目的と目標の明確化と共有⇒アイデア出し⇒アイデア整理⇒アイデア決定⇒アクションプラン決定⇒再確認
  3. ルールの設定
    メンバー構成に照らして、ミーティング進行に必要なルールを、合意 の上取り決める。 これにより、各メンバーがルールに則った発言を意識するとともに、ルールを破ったメンバーを嗜めることもできるため、ミーティングが効率的に進むこととなる。
    〔ルールの例〕 

    1. みんな均等に発言する
    2. 内容は整理し、3分以内で発言する
    3. 思い浮かんだら、身構えずに直ぐに発言する
    4. 人の話は最後までしっかり聴く
    5. 人の発言を頭ごなしに否定しない
    6. 勝手な思い込みは捨て去る
    7. 役職を付けずに、全員「さん」付けで呼び合う

一人ひとりの存在を大切にする

自由に発言ができる状況とは、「どんなことでも発言してもいいんだ」と安心できる状況のこと。つまり発言の自由が保障されている状況のことで、その責任を負うのがファシリテーターである。そのためにファシリテーターは、しっかり聴いて受け止める、しっかり目配り気配りする、究極はメンバー一人ひとりの存在を認めるという、コミュニケーションスキルを発揮することが求められる。 

[1] しっかり聴いて受け止める

  1. 傾聴する
    発言について、耳と目と心をしっかり集中させて、最後まで聴き切る。
    これによりメンバーは、聴いてもらえる安心と喜びを感じ、次にも発言しようと思う。
  2. 発言に対して判断や評価をしない
    発言については、判断や評価をすることなく、とにかくそのまま受け止めることが大事。
    発言者が「どんな発言でも受け止めてもらえる」と思うことこそが、発言の自由を保障しているということ。それが伝わると、その後も変に身構えたり、オドオドすることなく、率直に発言してくれることとなる。
    ファシリテーターが発言に対して判断や評価をしてしまうと、もはや中立ではなく、発言者以外のメンバーもファシリテーターに気にいられる発言をしようと、自分の真の思いや考えを表現しなくなる。そうなると、予想だにしない成果(合意形成や創造)をもたらす有意義なミーティングとは程遠いものとなってしまう。
  3. しっかり聴いて受け止める事を、メンバーにも求める
    話の腰を折ったり、話の途中で頭ごなしに否定・批判・反論したりする人がいる。それに対して的確な対応をすること、それはファシリテーターとしての大変重要な役割。
    そういう人たちの行為を注意することが、「皆さんの発言の自由を保障していますよ」ということを伝えることとなる

[2]しっかり目配り気配りする

  1. 表情や態度を見逃さない
    口元が動く、首が少し傾く、表情が曇る、貧乏ゆすりしている、それらについてファシリテーターは見逃してはいけない。それに気付き、そういったメンバーに発言の機会を与えることは、ミーティングの成果に大きな影響を及ぼす。
    そういったメンバーは、「自分をしっかり気にしていてくれる、ミーティングに参加していることに意義を感じる」という喜びや感動を覚え、更に積極的にミーティングへ参加することとなるのだ。
  2. 黙っている人に発言を促す
    ミーティングの流れに身を任せている人もいる。流れのままで基本的には納得なのかもしれない。それでもファシリテーターとしては、その人に発言を促してみたい。もしかしたら、別の視点を持っているかもしれないし、それがなくとも存在を認められたことへの喜びは大きいはずだから。 

      適切な場の設定やコミュニケーションのスキルの発揮により、「自由な発言が保障されている」という安心感を与え、それがミーティングの活性化から、納得感と充実感溢れる合意形成や創造をもたらすのです。